• 温泉合宿「Drupal ONSEN」レポート

温泉合宿「Drupal ONSEN」レポート

温泉合宿「Drupal ONSEN」レポート

この記事は、『Drupal Advent Calendar 2015』の2日目です。

去る 2015年11月14日?15日の2日間、「Drupal 温泉合宿@おたる ?Drupal ONSEN?」を実施・参加したので、そのときの模様をレポートします。

実施に至るまで

私たち「Drupal さっぽろ」は、札幌および近郊の Drupal ユーザーによるローカル コミュニティです。Drupal の国内コミュニティである「Drupal Japan User Group」の地域サブグループ的な位置づけで、2013年の9月から活動を続けています。OSC 北海道への参加のほか、現在ほぼ月に一度のペースで実施している meetup(勉強会)が活動の中心です。

活動に際しては、国内コミュニティの先輩である関西「Drupal Cafe」の紀野さん・太田垣さんのアドバイスを受けつつ地域間の交流も重ねる中で「いつか開発合宿ができたらいいね」という "夢" が語られるようになりました。メンバーは皆多忙で、泊りがけの合宿は実現困難に思えましたが、忙しい日々の疲れを癒(いや)す機会になるなら参加しやすいかも、ということで浮かんだアイデアが温泉でした。

札幌のメンバーで意見を交わし、次の2つの方針を決めました。

  1. 知識インプットの時間は最小限に抑えて開発作業の時間を確保する
  2. 開発の中身や取り組みスタンスは参加者の主体性に任せる

温泉をのんびり楽しむもよし、本気で開発に取り組むもよし。Drupal をテーマに2日間の中で参加者が自由に充実した時間を過ごしてもらおうと。折りしも注目の Drupal 8 のリリースを翌週に控えていたことから、募集に掲げたテーマは次のようになりました。

Drupal 8 で何か動くものを作りましょう。課題は2日目の最後に成果発表することのみ。あとは内容・規模・難易度すべて自由です。

結果、道外を含め12名の応募があり、ついに "夢" が実現することになりました。ただ、参加される方々の忙しさは伝え聞いていたので、内心「形式は開発合宿でも、まあ実態は温泉でのんびり充電する機会になれば良い」くらいに考えていました。Drupal 8 のプレお祝いパーティも兼ねれば Drupal コミュニティとして十分意味のある活動になるだろうと。

構成は、冒頭にアイデアソンとチームビルディングを行い、以降は自由時間(開発時間)とし、2日目の最後に成果発表を行う、という流れで計画しました。アイデアソンが可能になったのは、そのノウハウを持っている北原さんが前月からコミュニティに加わってくれたおかげです。これは本当に幸運でした。

始まってみると…

状況は当初の想像とは大きく異なり、全員が終始本気モード。アイデアソンが始まる前から時間を惜しむように真剣にPCに向かっていました。

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アイデアソンは北原さんの仕切りで大盛り上がり。ペアを組んで「他己紹介」、気持ちと空気を暖めた後、アイデア出しのテーマが示されます。

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テーマは「つながるコンテンツ」。これをふまえて、ストラクチャードラウンド、スピードストーミングなどのワークを経てアイデアスケッチをまとめます。

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アイデアソン終了後、チームビルディングを行って自由時間へ。温泉に入りに行こうとする人は一人もなく、それぞれ真剣に開発作業に没頭していました。

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夕方までひたすら作業に集中した後、夕食の準備で食堂をいったん出て小休止。しかし、その間も皆さん、自室で作業を続けていたようです。

夕食&Drupal 8 "プレ" リリースパーティ

旅の楽しみはやっぱり食事。後の作業を頑張るためにも腹ごしらえです。開発作業は一時中断、夕食会と Drupal 8 の "プレ" リリース パーティを行いました。今回はロッジの夕食のほか、北海道の魚介類によるお刺身も味わいました。

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加えて小樽名物「なると屋」さんの鶏のから揚げも・・・ところが、夕食時に出すのを忘れるという大失態を演じてしまいました。スミマセン

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食事の後は Drupal 8 "プレ" リリース パーティへ。全員でクラッカーを打ち鳴らしてお祝い!

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翌週の Drupal 8 リリースを祝して乾杯!!ついでに全員で記念撮影

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祝い事に欠かせないのがケーキ。宿と同じ朝里川温泉にあるトーイズスウィートさんにお願いしてリリースパーティ用のケーキを作ってもらいました。チョコプレートの上に忠実に再現されたバナーイメージにびっくり。

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パーティの後はLTタイム。
それぞれが専門のテーマについて発表しあいました。これがまたなかなか濃い内容でして…

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リラックスした空気の中にも、どこか合宿中の緊張感がただよう不思議な時間でした。それにしても皆さんしっかり発表のネタをお持ちで、改めて凄いなぁと思いました。

夕食後も深夜作業のガチンコ合宿

夕食後は近くの温泉施設へ移動して入浴。一日の疲れを洗い流し、さっぱりスッキリ気持ち良くなってあとは寝るだけ、、、かと思いきや、開発合宿 "夜の部" がスタート。食堂はエンドレスで利用可能なので、深夜に始まった作業は本当にエンドレスな感じに・・・

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上の写真は午前1時を過ぎていたと思いますが、さらに結局この後、午前4時くらいまで作業が続きました。もしかして皆さん、本業の仕事より頑張ってたりしませんでした?

2日目も発表直前まで作業に集中

朝食はバイキングスタイル。貸切状態だったので私たち専用に用意してもらった形ですが、期待以上におかずの種類が多くて嬉しかった。

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朝食の後は、午前 11:30 開始予定の成果発表会まで開発作業。全員真剣に作業に集中し、シーンとした食堂にキーボードの音しか聞こえない時間が続きました。

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そして、成果発表会

予定の 11:30 を過ぎたところでタイムアップ!作業終了。合宿最後の締めくくり「成果発表」に入りました。各チームとも限られた時間の中で、驚くべき集中力できちんと成果を出していたのには驚きました。始まる前、内心「温泉でのんびり充電」なんて考えていた自分が恥ずかしい・・参加された方々の努力と Drupal スキルに改めて敬意を表します。

発表成果とチームは次のとおりです(発表順):

  1. いくレコ(北原さん、青山さん)
  2. カフェマップ(半田さん)
  3. 超ローカルニュース共有サイト(佐藤さん)
  4. D8 版 AdaptiveTheme の Theming(太田垣さん、藤田さん)
  5. 北海道遺産一覧オープンデータ(井村さん、井ノ上さん)
  6. D6 から D8 へのサイト移行(Francesc Travesa Centrich さん)
  7. 最近の案件から技術紹介(紀野さん、今さん)

以下、簡単に紹介させていただきます。

トップバッターは、D8 でコアに標準実装された REST サービス機能を利用した写真共有サイト「いくレコ」。青山さんが D8 のバックエンド、北原さんがスマホ上で動作するフロント側を CordvaAngularJS で構築しました。

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発表の詳細は、当日の発表スライドが公開されているのでそちらをご覧ください。

続いての発表は、半田さん単独による「カフェマップ」です。カフェを含む飲食店情報の共有サービスはいろいろありますが、オーナーさんの立場からの既存サービスに対する不満の声はよく耳にします。そんなお店のニーズに応えるサービスを Drupal 8 で構築しようという試み。

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Drupal 上で管理する店舗情報の座標から地図上に位置をマッピングします。D8 から出力される JSON データが期待通りの形式とならない問題に遭遇し、合宿中にマップを完成させることはできなかったそうですが、開発は継続して将来の正式リリースにつなげたい意気込みを語りました。

続いて、佐藤さんの成果発表「超ローカルニュース共有サイト」です。

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大きいメディアには掲載されない超ローカルニュースを共有する仕組みを D8 ベースで提供するという構想に基づき、D8 と AdaptiveTheme を利用して構築したサイトの基本構成をデモしていただきました。佐藤さんの地元愛を改めて感じさせる印象的な発表でした。

続いて、太田垣さんと藤田さんによる D8 版 AdaptiveTheme の Theming についての発表。

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D8 においてベーステーマの有力な選択肢となる Contributed Theme のひとつとして AdaptiveTheme を取り上げ、D8 版の機能調査を基にサイトのレイアウト設計アイデアを披露しました。AdaptiveTheme はテーマ自体がサブテーマ生成ツールの役割を果たし、自動的・強制的にサブテーマを作成させる仕組みになっており、従来行われることがあったベーステーマに直接手を入れてカスタマイズする(良くない)方法はできないとのこと。今後の D8 サイト構築に直結する興味深い情報でした。

続いて、井村さん、井ノ上さんによる北海道遺産一覧オープンデータの発表。

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Drupal 8 RC 版を利用して、北海道遺産一覧オープンデータシステムの構築を目指しました。実際に取り組んでみると、まだ非常に不安定な contributed module の不具合に阻まれ、最終的な目標は達成できなかったとのことでしたが、逆に、そのような現状がリアルに伝わる非常に興味深い内容でした。発表資料を公開いただきましたので詳細はそちらをご覧ください。資料では Drupal 7から8の変更などについても触れています。

続いて、セスクさん(Francesc Travesa Centrich さん)による D6 から D8 に一気にサイト移行を試みた事案についての発表。

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Drupal 8 の Migrate 機能を利用して D6 サイトを一気に D8 へ移行したときに、ユーザー、ロール、コンテンツタイプ、フィールド、タクソノミーといったサイト要素がどのように移行されるのか、また具体的にどのような調整が必要になったのかという実際の移行作業で得られた知見が披露されました。今後 D8 の安定性と contributed module の移行状況によっては、D7 をスキップして D6 から直接 D8 に移行する選択肢も現実的なものになるかもしれません。

最後は、紀野さんと今さんのチーム。紀野さんから、最近手がけた実案件の技術内容と D8 との関連と今回の合宿の総評を語っていただきました。

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こうして(私を除く)全員が作業成果を発表し、今回の合宿の全予定を終了しました。本当は、ここで最優秀成果を皆で選んで、北原さん提供の商品を贈呈する予定だったのですが、私が後の予定で頭がいっぱいで舞い上がってしまい、すっかり忘れてしまいました。申し訳ありません。。

合宿を終えて

参加された皆さんの本気度に敬服する2日間でした。感じたことをまとめると、

  • 合宿は想像以上に楽しい
  • Drupal はハッカソンに向いている
  • Drupal やってる人たちは本気(ガチ)だ

巨大コミュニティを背景に、多様な技術と関わりを持ちながら発展を続ける Drupal は、旬のネタを扱うハッカソンにもってこいです。また、そうした技術で仕事をしている人たちは常にアクティブで意識も違うなぁということも痛感しました。

他方、運営スタッフ(私)はいろいろと考えが至らず、改善すべき点が多かったのは反省しています。それでも、アイデアソンの北原さんはじめ他の札幌メンバーや、参加いただいた方々のご協力でどうにか終えることができました。今回合宿に参加いただい皆さんに、この場を借りて改めてお礼を申し上げます。本当にありがとうございました。

なお、当日の状況や今回の合宿に関する情報は、Facebook のイベントページにも投稿していますので、興味のある方は覗いてみていただければと思います。

 

おまけ

「Drupal 8 で動くものを何か作ろう」というテーマを設定しておきながら、私自身は何の成果も出さないまま終わってしまったので、2週間以上遅れですがリリース版の Drupal 8 でこのサイトを作ってみました。テーマは、成果発表でも紹介されていた AdaptiveTheme。実験運用を兼ねているので、ときどき落ちたりしてたらごめんなさい。